こんにちは。
今回は歯の痛みと肩こりの関係について解説しました。
歯の痛みがあり治療したのに良くならない。。。
肩こりがひどくて時々歯も痛くなる。。。
歯が痛いけど、虫歯もなく治療方法が見つからない。。。など
原因不明の歯の痛みに悩んでいる方がいれば、是非読んでみてください。
あなたの歯の痛みの治療のヒントがあるかもしれません。
画像の引用元はこちらになります。
目次
歯の治療をしたのに歯の痛みが取れない?
最近歯を治療したのに、歯の痛みが取れないといったことはありませんか?
このような歯の痛みが、肩や頭、顎の筋肉のこりが原因になる可能性があることは知っていますか?
噛む時に片側の歯のほうでばかり噛んでいたり、強くかみしめる・歯ぎしりをする癖がある人は、肩や頭、顎の筋肉に過剰な負担がかかりやすくなり、噛むことに関係してくる筋肉がこってしまうことがあります。
そのこりが、本来問題になっている場所とは違う場所に痛みを出してしまう「関連痛」として歯の痛みを引き出してしまうことがあります。
この歯に痛みの原因がなく、肩こりや頭、あごの筋肉のこりが原因になって起こる歯痛のことを非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)と言います。
ではこの非歯原性歯痛とは何か?
その実態と解消法について解説します。
非歯原性歯痛ってなに?
非歯原性歯痛とは、歯や歯周辺組織に問題がないにもかかわらず、歯痛が感じられる状態のことを指します。(参考文献Ⅰ)
非歯原性歯痛になる方の割合として、幅はありますが、約3%~約12%とされています。(参考文献Ⅰ)
つまり、歯が痛い人の約30人に1人から10人に1人の割合で、非歯原性歯痛を持っているということになります。
またこの非歯原性歯痛の患者において、65%ないし82%が女性であると言われています。(参考文献Ⅱ)
このことから、非歯原性歯痛は、女性にとって非常に大きな問題になっていると言えます。
ではその非歯原性歯痛の原因は何なのかを見ていきましょう。
非歯原性歯痛の原因は何か?
非歯原性歯痛診療ガイドラインでは、原因について8つに分類されています。(参考文献Ⅱ)
1.筋・筋膜性歯痛(きん・きんまくせいしつう)
2.神経障害性歯痛(しんけいしょうがいせいしつう)
3.神経血管性歯痛(しんけいけっかんせいしつう)
4.上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)
5.心臓性歯痛(しんぞうせいしつう)
6.精神疾患または心理社会的要因による歯痛(身体表現性障害,統合失調症,大うつ病性障害など)
7.特発性歯痛(非定型歯痛を含む)
8.その他の様々な疾患により生じる歯痛
この中でも筋・筋膜性歯痛と呼ばれる、頭や首についている筋肉が原因で歯痛になるものが約半数~8割になると言われています。(参考文献Ⅱ)
なので、今回はこの一番問題になることが多い、筋・筋膜性歯痛について解説していきたいと思います。
筋・筋膜性歯痛とは?
文字通り筋肉に問題があり歯痛が発生している状態の事を言います。
どこの筋肉が関係しているかというと、そのほとんどが頭や首にある筋肉になります。
その筋肉は・・・
- 咬筋(こうきん)
- 側頭筋(そくとうきん)
- 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
- 僧帽筋(そうぼうきん)
この4つになります。
咬筋や側頭筋は、物を噛む時に使う筋肉です。
胸鎖乳突筋は、首を前や横に動かしたり、後ろを振り向く時に使う筋肉です。
僧帽筋は、肩を動かす時に使う筋肉ですが、肩こりにも関係していると言われています。
どうやって判断するの?
これらの筋肉がどのように歯痛に繋がるのかを判断するかというと、筋肉の痛みのあるポイントや凝りが強いポイントを約5秒間圧迫することで、歯痛が再現されるかどうかで確認します。
具体的に、下記の写真で示しているポイントやその周辺にある筋肉を触って硬い部分を押してみてください。
それで歯痛が再現されれば、その筋肉が原因で歯痛が起こっているということになります。
咬筋
ちょうど赤い点の部分。顎の関節があるところになります。
口を開けたり閉じたりしながら、歯の痛みが出ないかどうか確認してみてください。

側頭筋
ちょうど赤い点、こめかみの部分になります。
こめかみ周辺を押してみて硬い場所や痛い場所、歯の痛みが出る場所がないか確認してみてください。

胸鎖乳突筋
赤で示した部分になります。
バツ印のところが痛みが出やすいと言われているところになります。

僧帽筋
こちらも赤で示した部分が痛みの出やすい箇所になります。
上記で示した部分を圧迫することで、歯痛が再現されれば、原因が歯ではなく、それに関係した筋肉の可能性が高いと言えます。
単純な肩こりでも問題になる場所になるので、覚えておくと良いと思います。

このように筋肉にできる凝り固まった部分の事をトリガーポイントと言います。
トリガーポイントとは、圧迫することによって、関連した他の場所に痛みを引き起こす部位と言われています。(参考文献Ⅲ)
どこで診てもらうのが良いのか?
歯医者で良くならなかったらどこに行ってみてもらうのが良いのかわからない方もいるでしょう。
よく言われているのが、口腔顔面痛外来と呼ばれる所でみてもらうのが良いと言われています。
大きな病院であれば、専門外来としてあることが多いので、もし、原因不明の歯痛がある人は一度近くの病院を調べてみてください。
また肩の痛みがある場合は整形外科で見てもらうのも一つの手だと思います。
物理療法(電気治療)や理学療法の対象となる可能性がありますので、一度受診してみるのも良いかもしれません。
(ただあくまで肩の痛みで受診し、歯の痛みでは受診しないでください。)
どのような治療が有効なのか?
次に効果があるとされている治療法について紹介したいと思います。
一番効果があるとされているのは、歯痛が再現される、凝りのあるポイントにトリガーポイント注射や針治療を行う事が有効とされています。(参考文献Ⅱ)
なので接骨院や鍼灸院で治療してみるのも良いと思います。
また、マッサージやストレッチなども効果があるとされています。(参考文献Ⅱ)
どのようなストレッチが良いか?
ストレッチについて各筋肉ごとに写真付きで解説します。
これらの筋肉を伸ばす時は、1時間に1回、約10~20秒くらい出来ると効果が高くなります。
咬筋、側頭筋
この2つの筋肉が凝っている人は無意識にかみしめる癖があります。
-
- 指が3本くらい入るように、口を大きく開ける
- 顎の筋肉を伸ばす
- この状態で10~20秒キープ

胸鎖乳突筋
- 背筋を伸ばす
- 片方の手を背中に回し、もう片方の手を鎖骨に置く
- その状態のまま、首を斜め後ろに倒す
- これは10秒くらいずつゆっくりやってあげてください。
<ポイント>
・顎を引きながら斜め後ろに倒す
・鎖骨に置いた手を下に押し下げるようにする
この2つを意識すると効果的です。

僧帽筋
基本的に首に近い部分の僧帽筋が問題になるので、ここでは僧帽筋の上部のストレッチを紹介します。
- 顎を引き、背筋を伸ばして手を頭の上に持っていく
- 首を斜め前に倒していく
<ポイント>
・反対の手は背中に持っていくと、より僧帽筋が伸びます。


背中側の僧帽筋を伸ばす時は、こちらの方法で。
- 背筋を伸ばす
- 両手を頭に乗せる
- 首を前に倒す

こんな症状がある方は、マッサージやストレッチよりもまず先に病院へ
- 歯痛のほかに、明らかに歯の周辺の感覚がなかったり、鈍い状態
- 歯痛ともに吐き気を伴う頭痛
- 帯状疱疹とともに生じる歯痛
- 胸部の圧迫感とともに生じる歯痛
これらの症状がある場合は、筋肉以外の原因で歯痛が生じている可能性があるので、トリガーポイントのマッサージや鍼治療、ストレッチを行うのではなく、迷わず口腔顔面痛外来のある病院や、近くの歯科や内科に相談してください。
最後に
いかがでしたか?
今回は歯の治療しても治らなず、原因がわからない歯痛。非歯原性歯痛について解説していきました。
歯の痛みは、もちろん歯が原因であることが多いのですが、それ以外の原因があるかもしれないということを知っておくことは、意外と大事な事なので、頭の片隅に残しておいてもらえればと思います。
その中でもし歯を治しても歯痛が治まらない人は、咬筋や側頭筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋を押してみて、歯痛が出ないか確認してみてくださいね。
もし痛ければ、併せてストレッチもやってみてください。
以下は足のストレッチを紹介しています。
お時間ある時に是非ご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
Ⅰ) 和嶋浩一:非歯原性歯痛の診断と治療 非歯原性歯痛とは.日本顎吻合学会誌,噛み合わせの科学,第35巻,第3号,238-242.2015.
Ⅱ) 日本口腔顔面痛学会:非歯原性歯痛診療ガイドライン~診療ガイドライン作成委員会編集~.日本口腔顔面学会誌4号2巻.0-88貢.2012.
Ⅲ) 森本昌宏,白井達:ペインクリニックにおける神経ブロック療法 トリガーポイント注射. 日臨麻会誌Vol.34No,7.947-951,2014.
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