こんにちは。
前回はclinical reasoningとは?ということで簡単に解説しました
前回の記事はこちらです。
今回はclinical reasoningの種類という事で5つ説明していきたいと思います。
ちなみにその5つとは・・・
①診断的推論
②物語的推論
③共同的推論
④予測的推論
⑤倫理的推論
の5つです。
では1つずつ解説していきます。
診断的推論
診断的推論とは、
変化をもたらす身体的問題について理解し、治療する。
(医学的に原因と結果を考え、行動する事)
という事です。
理学療法士が診る前には必ずドクターの診断が入りますよね?
その診断自体が診断的推論になるわけです。
医学的な数値や画像結果、簡単な身体検査等をドクターは行っており、
その結果を元に診断がつけられます。
この診断的推論を実行するにはどのような事が必要とされているか?というと
①医学的に原因と結果を考え、行動出来る能力
②高い医学的知識と臨床技術
③原因組織と関連因子について考える能力
こんな能力が必要とされています。
医者の世界では当たり前に必要な能力ですが、
日本の理学療法士の世界では、診断が下ってから診る事になるので、
この診断的推論の部分の医学的知識に関しては不足していると個人的には思っています。
理学療法士に開業権が認められている海外では、当たり前の事なので、
診断的推論が行える知識(数値や画像結果の解釈、もちろん身体検査の解釈)を
しっかり身につけていきたいですね。
物語的推論
物語的推論とは、
変化をもたらす人間について理解し、対話する。
(心理社会的に考え、行動する事を要求されるもの)
という事です。
ここに関しては、イメージしやすいのは理学療法士の問診ですね。
状況に応じて、色々な問診(聞き方)をしなければいけないと思います。
この物語的推論を行うためにはどのような事が要求されるか?というと、
①心理社会的に問題点を考え、行動する
②患者を一人の人間として理解する
③心理社会的な知識とコミュニケーション能力
④セラピスト側の寛大な姿勢
患者さんには色んなバックグラウンドがあります。
その中でこの患者さんは何を求めていて、どうしていきたいのか?
を探っていく必要があります。
整形外科の分野なら主には痛みを取りたいだと思いますが、
果たして、この痛みを取るという作業だけが本当に正しいのかどうかも考えなければなりません。
この人はなぜこの痛みが出て、何が不足していて、
普段の生活の中でどのようにしていかなければいけないのか等・・・
そのようなことまで考えながら物語的推論を進めなければなりません。
そういう会話の中で患者さんは、セラピストを信頼してくれるようになる基盤を作る事が出来ると思います
診断的推論 vs 物語的推論
2つの事を説明しましたが、
実際の所、しっかりとした診断をつけていくためにには、
身体的な要因である、診断的推論と
その人に関する情報が含まれている、物語的推論の
療法から得た情報を含んだ上で、治療が実施されていかなければいけないのです。
どちらかが不足していると、治療を行っていく上でエラーが起きやすくなるのです。
理想は50%50%ですかね。
ただもちろんその人によっては比重が変わってくる場合もあるのは事実です。
(例えば・・・病院をたらい回しにされている人に対して、問診部分の比重を多くしたり、少し我が強くて、俺はマッサージしてくれればいいんだ的な感じでかられる方に対しては、最初は評価を少なくして治療にかける時間を増やし、その治療の中の会話の中で大事な部分に気づかせる等)
結局はその人をしっかり理解しないといけないので、その時々に考えながら進めなければいけません。
共同的推論
まずはこちらの画像をご覧ください

(引用:Edwards&Jones 1996)
手書きですみません。
セラピストと患者さんが共同で治療を進めていく過程を示した図ですね。
要するにセラピストと患者双方が意思決定を共有する事が必要になります。
例えば、
『患者さんのどのような情報から推察して、更に、身体機能評価でこのような結果が出た。
現在このような状態であるから、あなたに今必要な事はこんな事なので
これからこういうエクササイズを行っていきます。
また徐々にこの出来ない事が出来るようになってきたら、負荷をあげていきます。
質問やわからない事はありますか?』
みたいな感じですかね?
しっかり説明をして患者の意思決定を聞く。
何やってるかわからないと患者さんも不安ですからね。
後は、最初に要望を聞く場合もあります。
予測的推論
これは、患者の反応と結果を推定するものです。
理学療法士は、患者の所見、治療に対する反応、臨床もしくは研究に基づいた活用できる確証に関する考察に基づいて、これから起こるべき展開について概説する事が出来なければならない。
要するに、自分のやる事に対して、常に説明できなければいけませんよ。という事ですね。
なんでこれやったんですか?
何となくです。と言う答えをされると、患者さんは、え?ってなりますよね。
常にどんな事が起こりえて、なぜこれが必要なのか説明出来るようにしましょう。
倫理的推論
これは、言葉は難しいです。。。
倫理ですからね。
『症状を増悪させる、もしくは生命を脅かす可能性のある治療手技を用いる場合の判定から、
患者の自主性、インフォームドコンセント、守秘性、職種間の関係、従業者と顧客間の関係、
財産分配とコスト制限、および質の管理を支える日々無数に起こる判定まで変動する可能性がある』
教科書の文書を引用させてもらうと、
『医療における倫理は、人とは何なのか、医療従事者、患者、家族およびコミュニティとの関係を構築しているものは何か、お互いに対する配慮と責任を構成するものは何か、という事に対して、実践に基づいた理解から始めなければならない』
マニュアルセラピーに対するクリニカルリーズニングの全て:pp21
要するに、患者さんに対して、ちゃんとインフォームドコンセントが取られていたか?
と言う事が一番大事になってくるかと思います。
患者との意思疎通。理学療法士としては絶対になくてはならない能力ですね。
最後に
いかがでしたか?
なんか難しいですよね。
僕も説明しながら、頭の中が混乱してきました。笑
でも、文章にすると難しいですが、やってる事は、普通に理学療法士が行わなければいけないことばかりなんですよね。
ちなみにこれをもっとしっかり学びたい人は、
「マニュアルセラピーに対するクリニカルリーズニングのすべて」
という本がおすすめです。
これに上に書いてある内容はほぼ書かれています。
むしろそれ以上の事がたくさん開かれていると思います。
こんな感じで今回は終わろうと思います。
徒手療法編はまだまだやりますので、
皆さんよろしくお願いします。
主観的評価についてについてはこちらになります。
客観的評価についてはこちらになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメントを残す