こんにちは。
複合性局所疼痛症候群(complex Regional pain syndrome:CRPS)についての文献紹介をしたいと思います。
みなさんは、なかなか痛みの治らない症例や痛みの訴えが異常に強い状態の患者さんに出会ったことがありますか?
少し触れるだけで痛いなど、痛みの訴えが異常に強かったり、通常の治癒期間を超えても腫れが引かなかったり、炎症の症状が治まらなかったり・・・
確かにそんな痛みが強い状態の患者さんはそんなにたくさんはいないかもしれません。
しかし、そういう痛みを訴えて来られる方は実際にいます。
少しでも触れば痛みを訴えるし、どうしてよいかわからなくなると思う方もいるかもしれません。
そんな方の治療をしていく上でこの、『複合性局所疼痛症候群(CRPS)』を理解することは凄く大事になってくると思います。
なので、是非一つの知識として知っておいてください。
CRPS についての簡単な紹介はこちらをご覧ください。
<リハ職・リハビリ学生向け記事>複合性局所疼痛症候群(CRPS)とはどんなものなのか ~異常な痛みを訴える方はこれが原因かも?~
文献紹介
吉田 亮太 他:複合性局所疼痛症候群による慢性的な足部の疼痛と歩行障害に対し超音波療法が著効した一症例.理学療法学 第45巻第2号,p112-120,2018.
理学療法学で紹介された文献になります。
題に超音波療法が著効した症例とありますが、超音波療法をして治ったという単純な症例研究ではありません。
難しい痛みに対してしっかりした評価から多面的にアプローチをして、最終的に超音波療法でとどめをさしたと言いましょうか・・・(笑)
治療のレパートリーもさることながら、しっかりエビデンスに基づきながら治療を行っていて凄く勉強になります。
是非参考にしてください。
内容紹介
外傷後、約7ヶ月後にCRPSと診断された症例です。
詳しい所見は、本文をお読みください。
J−stageで検索すると見れますよ!
症状
症状として確認されていたのは、以下の通りです。
- 非常に強い荷重時痛
- 圧迫時の痛み(靴下など)
- 温熱時の痛み
- 足の浮腫
- 安静時に誘因なく生じる痛み
以下は行っていた評価項目です。
評価
- 視診・触診
- 皮膚温測定
- 触覚検査
- 自動運動検査
- 他動運動検査
- 神経触診
- 神経動的検査
- 下肢荷重検査
- 歩行分析
- 呼吸パターン評価
- 脈拍測定
- 質問紙票検査(PDQ、LANSS、CRPS判定指標)
様々な部分を評価するためには、やはりこれくらい必要ですよね。
特にCRPSのような疾患は、原因は多岐にわたっていると思うので、それを一つ一つはっきりさせるためには非常に重要なことです。
以下は行っていた治療の項目です。
治療
- 病態説明
- 腹式呼吸
- ミラーセラピー
- スライダーエクササイズ
- 超音波療法
ここまでがCRPSの症状改善に効果を示していた治療になります。
それぞれ評価を元にその時の症状と状態の変化に合わせて治療を行っています。
タイトルにある様に最後の部分は超音波で改善が見られていますが、そこに至る過程で、その他の治療も行い、それぞれが効果を示しています。
その治療に対する、評価もしっかり行い、変化に応じて、評価、プログラムともに変化させています。
その結果最終的に、一般的なROMエクササイズや荷重エクササイズの治療を行っていますが、その治療を行うまでの過程がすごく参考・勉強になるので、是非一度論文を読んでみてください。
最後に
今回はCRPSの治療についての論文の紹介をさせていただきました。
問診から、機能評価、治療、再評価、治療内容の変更と、一人の症例ですが、様々な要素が詰まっている症例研究になっています。
ぜひ一度ご覧になってくださいね。
主観的評価(問診)、客観的評価のポイントについてはこちらに書いているので、こちらも参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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