こんにちは。
さて、今回はドーピングの基礎知識について少しまとめてみたいと思います。
残念ながら、平壌オリンピックではドーピング検査で日本の選手が引っかかり、選手村から出たそうですね。
本当なら許せることではありませんが、もし何かの間違いであるならば、しっかり、事実を調べてほしいですね。
では少しドーピングのことについてまとめていきます。
サイトをまとめたのが2018年なので、現時点で少し変更があるかもしれません。
その点は後日変更いたしますので、見ていく際は注意してください。
画像の引用元はこちらになります。
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目次
ドーピングとは?
ドーピングとは、一般的に「スポーツ競技で運動能力を高めるために薬物を使うこと」とされています。
その他に酸素能力を高めるために、自分の血液を試合直前に体内に入れる血液ドーピングというものもあります。
近年では遺伝子ドーピングというものもあります。
でも実際に何がドーピングで何がドーピングでないのかはいまいち良くわからないですよね。
ドーピングの禁止理由
- スポーツの価値を損なうため
- フェアプレー精神に反するため
- 健康を害するため
- 社会や青少年に悪影響を及ぼすため
主にはこの4つになります。
よくドーピングすると疲れにくくなったり、普段出ないパワーが出るわけですから、そんな相手と試合させられたらたまったもんじゃないですよね。笑
ドーピングの検査手順
NPBのアンチドーピングガイドというサイトが詳しく説明してくれているので、このサイトをご残照ください。
http://npb.jp/anti-doping/chapter2.html
だいたいこんな感じの流れになります。
ではどのような競技・大会でドーピングの検査は行われるのでしょうか?
ドーピング検査が行われている競技
ア行
- アイスホッケー
- アーチェリー
- ウエイトリフティング
カ行
- カヌー
- 空手道
- カーリング
- 弓道
- 近代五種
- クレー射撃
- 剣道
- ゴルフ
サ行
- サッカー
- 山岳
- 自転車
- 銃剣道
- 柔道
- 障害者スポーツ
- 水泳
- スカッシュ
- スキー
- スケート
- 相撲
- セーリング
- ソフトテニス
- ソフトボール
タ行
ナ行
ハ行
- バイアスロン
- 馬術
- バスケットボール
- バドミントン
- バレーボール
- パワーリフティング
- ハンドボール
- ビリヤード
- フェンシング
- フットサル
- ボウリング
- ボクシング
- ホッケー
- ボブスレー・リュージュ
- ボート
ヤ行
- 野球
ラ行
- ライフル射撃
- ラグビーフットボール
- 陸上
- レスリング
けっこうたくさんありますね。
54競技ありました。
ではどんな大会で検査が行われているのでしょうか?
ドーピング検査が行われている大会
まず多いのは・・・
- 国体
- 全日本選手権
といった名のついた大会です。
後は、
- 国際大会に出るための選考会
- サッカーやバスケット、ラグビーはリーグ戦カップ戦
基本的に男子も女子もともに同じようにある感じです。
日本プロ野球機構は独自でやっている感じですかね。
ここのまとめには載ってませんでしたが、NPBの公式サイトには載っているので、やっているのでしょう。
気になるのは大相撲。
調べたらドーピング検査が無いのは大相撲だけでした。あれだけ過酷な競技だから、痛み止め等はかなり使っているような気がするので、やれば引っかかる力士はたくさんいるのかもしれないですが・・・。ちょっと気になる所ですね。
トップリーグに所属しているチームのトレーナーはドーピングの知識等はしっかり持っていると思います。
一番気をつける必要があるのは、高校生等も出場する国体でしょうか?
国体となれば基本的に、各都道府県から派遣?された方がやると思うので、その辺の知識はしっかりしていると思うので大丈夫だと思いますが・・・
高校生等が個人で飲んでいるサプリメントなんかは注意が必要です。
国体のドーピング検査の概要はこちらになります。
http://www.realchampion.jp/assets/uploads/2017/06/20170630_6.pdf
どの選手が対象になるかもわからないですし、事前に監督等に通知もいきません。
未成年の全選手は事前に同意書なるものを親のサイン入りで携帯し、いつ検査になっても大丈夫なようにしておかなければいけないようです。
ではどんな物質がドーピングに当たるものなのでしょうか?
World Anti-Doping Agencyで禁止されている物質および方法について
World Anti-Doping Agency(WADA)で禁止されている物質や方法はどうのようなものがあるのでしょうか?
それぞれの具体的な物質名はこちらのページに載っています。
https://www.wada-ama.org/sites/default/files/resources/files/wada_2019_japanese_prohibited_list.pdf
まず、常に「禁止される物質」と「禁止方法」についてです。
これは競技会および競技会以外の全ての場合に適応されるということです。
- S0.無承認物質
- S1.蛋白同化薬
- S2.ペプチドモルモン,成長因子,関連物質および模倣物質
- S3.ベータ2作用薬
- S4.ホルモン調節薬および代謝調節薬
- S5.利尿薬および隠蔽薬
- M1.血液および血液成分の操作
- M2.科学的および物理的操作
- M3.遺伝子ドーピング
最初に「禁止物質」について解説していきますね。
S0.無承認物質
禁止表の以下のどのセクションにも対応せず、人体への治療目的使用が現在どの政府保健医療当局でも承認されていない薬物(例えば、前臨床段階、臨床開発中、あるいは臨床開発が中止になった 薬物、デザイナードラッグ、動物への使用のみが承認されている物質)は常に(競技会(時)および 競技会外)禁止される。
要は、まだ世間に出回っていないもの全てということになりますね。
こんなの一般の人が手に入れることなんてまずなさそうです。
S1.蛋白同化薬
この薬は、身体能力を増強して、筋肉の成長を促進するというものです。
これらにはもちろん身体へ与える影響も大きいものになっています。
多くは男性ホルモンの作用を持っているもので、もしホルモン治療をされている方でスポーツをされている方がいれば注意が必要です。
S2.ペプチドモルモン,成長因子,関連物質および模倣物質
子どもの成長に必要なホルモンです。
このホルモンは、何らかの要因で身体の成長が遅い人に成長を促す目的で使用されることが多いようです。
そのような場合は、医師の診断のもと必要性があるから問題ないのです。しかし、それ以外の人が使えば、蛋白同化薬と同様、筋肉増強の作用があるので、当然アウトです。
現在の世界最高選手といわれるFCバルセロナ所属のメッシ選手は、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」という病気で成長ホルモンの治療を受けています。これは明らかに治療の必要があったと医師が認めていることで、ドーピングには当たりません。そもそも人より少ないものを人と同等にするために行う治療なので、何の問題も無いでしょう。
S3.ベータ2作用薬
この薬は、主に気管支に存在するアドレナリンベータ2受容体を刺激することにより気管支を広げ、呼吸を楽にする医薬品群のことを言います。
まあ要するに喘息持っている人や心不全の人に、よく使われる薬です。
なぜドーピングになるかというと呼吸効率を上げることで、酸素の取り込む能力をあげてしまうからです。
喘息を持っていて治療している方は注意が必要になってきます
特にヒゲナミンといわれる物質に注意が必要です。この物質は、漢方や市販薬にも使われることが多いです。また、過去に海外のサッカー選手が、ヒゲナミンが入っていることを知らずに脂肪燃焼剤を使い、ドーピング違反になった例があります。
S4.ホルモン調節薬および代謝調節薬
これは男性ホルモンや女性ホルモンの分泌を調節する目的で使用されます。
男性ホルモンの分泌を多くして筋肉増強を主な目的として使用されています。
S5.利尿薬および隠蔽薬
この薬は、主に他のドーピングに関わる薬を、身体から早く無くすために、使用されることが多いです。
また、身体の水分量を減らし、体重を減らす目的でも使用されることがあります。
次に「禁止方法」について説明していきます。
M1.血液および血液成分の操作
これに関してはこのような解説がなされています。
- 自己血、他者血(同種血)、異種血又はすべての赤血球製剤をいかなる量でも循環系へ投与するあるいは再び戻すこと。
- 酸素摂取や酸素運搬、酸素供給を人為的に促進すること。 過フルオロ化合物;エファプロキシラール(RSR13)、修飾ヘモグロビン製剤 [ヘモグロビンを基にした血液代替物質、ヘモグロビンのマイクロカプセル製剤 等]が含まれるが、これらに限定するものではない。但し、吸入による酸素自体 の補給は除く。
- 血液あるいは血液成分を物理的あるいは化学的手段を用いて血管内操作すること。
(2018年禁止表国際基準より引用)
要するに自分の血液を採って、また身体に戻すようなことはしてはいけませんということです。
これをすることによって酸素運搬能力が高まるため禁止されています。
ちなみに酸素カプセルに関しては、禁止にはなっていません。
腎障害のあるスポーツ選手が行う人工透析に関しては、しっかり申請すれば問題ありません。
M2.科学的および物理的操作
- ドーピング・コントロールで採取された検体の完全性及び有効性を変化させるために改ざん又は改ざんしようとすることは禁止される。これらには尿のすり替え、尿の改質(蛋白分解酵素等)などが含まれるが、これらに限定するものではない。
- 静脈内注入および/または静脈注射で、12時間あたり計100mLを超える場合は 禁止される。但し、入院、外科手術、または臨床検査のそれぞれの過程において正当に受ける場合は除く。
(2018年禁止表国際基準より引用)
まあ要するに不正をしたらアウトですよっていうことですね。
M3.遺伝子ドーピング
以下の競技能力を高める可能性のある事項は禁止される:
- 核酸のポリマーまたは核酸類似物質の使用。
- ゲノム配列の変更および遺伝子発現の転写および/またはエピジェネティック調節の変更を目的に設計された遺伝子編集用物質の使用。
- 正常なあるいは遺伝子を修飾した細胞の使用。
(2018年禁止表国際基準より引用)
この辺は普通の人には出来なさそうですが、今後この文言はどんどん増えていくような気がします。
次に競技会検査で禁止される物質と方法について説明していきます。
- S6.興奮薬
- S7.麻薬
- S8.カンナビノイド
- S9.糖質コルチコイド
この4つについて説明していきます
S6.興奮薬
この薬は、本来持っている能力以上のものを引き出すために使用するものになっています。
多くの風邪薬や鼻炎の薬に使用されており、注意が必要です。
また栄養ドリンクにも使われているものがあるようです。それに関しても注意が必要ですね。
S7.麻薬
麻薬は、鎮痛・鎮静による精神・心理機能の向上とリラクゼーション、また陶酔感・ 多幸感を期待して使用されるために禁止されている。
S8.カンナビノイド
これも麻薬の一種です。
思考、 知覚、気分を異常に変化させ、多幸感、高揚感を期待して使用されるため禁止されています。
選手が不安や焦りから逃げるために使用されていた経緯があるようです。
S9.糖質コルチコイド
エネルギー代謝を活性化させ、競技力向上を狙って使用される。また炎症を 抑える作用があるため、怪我をしていても競技を継続できてしまうため注意が必要。
また、申請が必要なものと必要がないもがあるので、この辺に関してはスポーツに関する知識が豊富な医師に確認するのが一番だと思います。
申請必要:経口使用、静脈内使用、筋肉内使用、経直腸使用
申請不要:皮膚、点眼、点鼻、点耳、口腔内、関節内など
次に特定の競技において禁止される物質について説明していきます 。
ここに関しては1つのみになります。
2017年まではアルコールが書かれていましたが、2018年に削除されました。
しかし、使用して言い訳ではなく、こんなもの飲んでないのが当然でしょ?ということですよね。。。
ここには記載されていませんが、各競技のルールの中に明記されることが義務とされ、守らない競技者は適切に制裁を受ける手順を導入するようにとしているようです。
P1.ベータ遮断薬
べータ遮断薬は、以下の競技種目において競技会(時)に限って禁止される。指示がある場合は競技会外においても禁止される。
手の震え等を止める作用があるようです。なので、主に集中力が必要な競技で禁止されています。
- アーチェリー(国際アーチェリー連盟:WA)*
- 自動車(国際自動車連盟:FIA)
- ビリヤード(全ての種目)(世界ビリヤード・スポーツ連合:WCBS)
- ダーツ(世界ダーツ連盟:WDF)
- ゴルフ(国際ゴルフ連盟:IGF) 射撃(国際射撃連盟:ISSF、国際パラリンピック委員会:IPC) *
- スキー/スノーボード(国際スキー連盟:FIS)ジャンプ、フリースタイル(エアリアル/ハーフパイプ)、スノーボード(ハーフパイプ/ビッグエアー)
- 水中スポーツ(世界水中連盟:CMAS)コンスタント-ウェイト アプネア(フィンあ りフィンなし)、ダイナミック アプネア(フィンありフィンなし)、フリーイマー ジョン アプネア、ジャンプ ブルー アプネア、スピアフィッシング、スタティ ック アプネア、ターゲットシューティングおよびバリアブル ウェイト アプネア
けっこうあまり知られていない競技も多いですが、こういう競技にこそ注意が必要になってきます。
では時々出てきたと思うのですが、どのような市販薬に禁止薬物が含まれていて、どのような市販薬が使っても大丈夫なのでしょうか?
使用可能な市販薬
使用可能な市販薬に関しては、以下のページにて確認してください。
日本スポーツ協会に載っている2020年版の使用可能薬のリストです。
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/anti-doping2020.pdf
日本陸連の方にも使用可能なリストの例、使用不可なリストの例が載っています。
こちらも2018年版になっています。
http://www.iuau.jp/news/2018/anti2018.pdf
これらのページを参照して大丈夫な薬、駄目な薬をしっかり把握してください。
サプリメントについて
基本的には、海外のサプリメントは禁止物質が入っている可能性が高く、使用することはお勧めされていません。
日本のサプリメント会社のもので、禁止薬物が使われていませんとされて売っていますが、ドーピングの観点からいうと、選手側にどれだけ過失がなくても汚染された商品がある可能性もあり、そのような商品を取った場合も選手側の責任になります。要するにドーピングにあたるということです。
どうしても使用したい場合は、アスリートの責任の範疇になりますので、サプリメントで、禁止薬物入ってませんとうたっていても気をつけてくださいね。
どうしてもサプリメントを取りたい場合はチームの監督・トレーナー等に相談することをお勧めします。
どんなサプリメントが大丈夫なのか?
現在日本アンチ・ドーピング機構 で認証されている商品はいくつかあり、会社でいうと4社になっています(2017年12月8日現在)
どんな会社のどんな商品が大丈夫なのかというと・・・
-
大塚製薬株式会社
- ポカリスエット
- エネルゲン
- カロリーメイト
- アミノバリュー
- ネイチャーメイド
- SOYJOY
- オロナミンC
- ボディメンテゼリー
これらになります。粉末や味等の記載も細かく書いてありました。
-
味の素株式会社
- アミノバイタル
- グリナ
-
株式会社明治
- ザバス
- ヴァーム
- コルディアFe
-
株式会社 Real Style
- ビーレジェンドプロテイン
商品に関してはこんな感じになります。
基本的には1年ごとに更新されている情報なので、今上がっている会社のものは成分的に認められているのでしょう。
ちなみに森永製菓株式会社は2017年3月31日で認証を終了しています。
なのでウイダー等の商品は認証商品ではありません。ただもしかしたら、DNSのように海外の検査を行っている可能性もありますので、その点に関してはグレーゾーンですね。
これに関しては随時更新されている情報だと思いますので最新は、日本アンチ・ドーピング機構のサイトを見てください。
http://www.playtruejapan.org/qualified/
*ここに書いているものは最新のものを調査して書いていますが、抜けているものもあるかもしれません。その点はご了承ください。ドーピングについては1年に1回更新されているので、こちらも1年ごとの更新をしていく予定です。それ以外にも変更があれば随時更新していきます。
-
DNS ZONEについて
また、DNS社が販売しているものに関してはかなり安全性が高いものといえそうです。
DNS社は海外のアンチ・ドーピング認証プログラムである、インフォームドチョイスという所から認証を受けています。海外ではかなり実績のある会社で、日本アンチ・ドーピング機構よりも、頻繁にドーピングの検査がなされており、安全性に関してはかなり高そうです。
http://www.dnszone.jp/magazine/2017/0106-001.php
下のリンクは検査で禁止物質が出ませんでしたという結果です。
http://www.dnszone.jp/dns_tech/anti-doping-item.php
ちなみに・・・
DNS社はサッカーで2017年の天皇杯で旋風を起こしたいわきFCのメインスポンサーをしていますね。
いわきFCの肉体改造はDNS社が大きく関わっているようですね。
http://www.domeshoppingzone.com/dns/feature/iwakiFC/index.html
メディカルサポートを全面的にバックアップしているのであれば凄いことですよね。
おそらくどのJチームにも無いサポートだと思います。
これからのいわきFCの活躍に期待です。
過去の事例
過去にドーピングで違反になったサプリメントを販売している海外の会社は、ガスパリ社のものやエープライムという会社のものがあります。いずれも成分では入っていなかったが、その商品が汚染商品だったため、ドーピング違反になった事例のようです。
海外の会社のサプリメントは汚染商品がまれに入っていることがあり、これに関しては注意が必要です。
*汚染商品:誰も気付かずに禁止物質が混入している背商品のこと。汚染商品が出ている会社は禁止物質の商品も販売している会社のことが多いそうです。同じ工場で作っていれば何かの間違いで汚染されることもあるかもしれませんね。
最後に
いかがでしたか?
意外と知らないこともたくさんありますよね。
普段気にせず使っている市販薬にも、注意が必要です。
もちろん全てのアスリートが関係してくるわけではありません。
しかし、上を目指そうとすればするほどこの問題は大きく関わってきますので、競技レベルの高い選手を指導している指導者やトレーナーになる方は是非知っておいてもらいたいです。
もちろんドーピングは選手の責任の部分も問われる問題なので、選手自身もしっかり知識として知っておいてもらいたいです。
ちなみにこちらは、選手のコンディショニングを整えるに当たって、温泉成分によって痛みの軽減が得られるものです。ドーピングに関しては一切ないといわれているものになっているので、一度読んでみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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